テレワーク導入支援講座No.4 〜テレワークを行うためのインフラが整理されていない場合〜
テレワーク導入支援講座No.4 〜テレワークを行うためのインフラが整理されていない場合〜
2020年4月現在、新型コロナウイルスが猛威を振るい世界中の主要都市が閉鎖される等、まさに世界は大混乱の中にあり、その影響は日本にも及び、東京を始めとした日本の各都市に強い社会活動の自粛要求が出ています。こういった状況の中で、政府の要請の元、テレワークに取り組もうとしている企業の数は日々増えていると思いますが、様々な理由で中々導入に踏み切れていないという現状があるかと思います。
上のアンケート結果は、パーソル総研が2020年3月23日に独自調査を行ったものです。この結果に関する考察はこの記事で行っていますが、本記事では特に要因として大きい、「テレワークを行うためのインフラが整理されていない場合」に関して、改めて深堀りをし、具体的な解決策についてご説明させて頂きます。
テレワークを行うためのインフラが整理されていない場合の解決策
この記事で概要をまとめさせて頂きましたが、「テレワークを行うためのインフラが整備されていない」という理由でテレワーク導入を見送っている企業が一定数ありますが、非常事態宣言が発令され、新型コロナウイルスの感染拡大を少しでも抑える必要性がある現在において、テレワークの導入は優先事項であるという事ができます。なのでそういった企業はすぐにテレワークの導入を開始できるよう、インフラを整えておく必要があります。
冒頭に共有させて頂いたアンケートの結果でも、「テレワークのためのICT環境が整備されていない」という理由が多く見られました。また、インフラに関係する懸念事項として「テレワークを行う際のセキュリティ」は無視できない問題であるので、以下に合わせて解決策を記述します。
テレワークのためのICT環境が整備されていない事に関する解決法
「テレワークのためのICT環境が整備されていない」という理由は、上で共有させて頂いたアンケートの結果でも、テレワークを妨げる原因の1つとなっています。DXにおけるデジタル化もしかりですが、テレワークの土台として、扱うデータが電子化され、コミニケーションも全てチャットツール等で電子化されている事が理想です。つまり、テレワークのためのICT環境を整えることは、DXの最初のステップであるデジタル化に取り込む事とほぼ等価になります。
デジタル化のステップしかり、まずは一番大切な事は普段の業務の業務プロセスを整理し、どの位デジタル化が達成されているかを確認する事です。また、この時点でどうしてもデジタル化できないような業務も洗い出しておく事も重要になります。これにより、業務のどこまでをICTでカバーするかを明確にします。仕事の性質にもよりますが、最低限以下の事項が満たされればテレワークは運用可能になります。
- 各個人のPC
- 各個人のインターネット環境
- コミニケーションツール
1に関しては、デジタル環境下で業務を行うためにはもはや必須ツールであると言えます。前提としては、十分にセキュリティ対策が施され、Microsoft Office等、業務を行うために必要なアプリケーションが正しくインストールされている事が前提になります。但し、完全にクラウドベースで仕事の環境を整える場合は、個人のPCへのアプリケーションのインストールは最小限で済む場合もあります。
2に関しては、よほど個人の仕事がネット環境に依存しない以外は必須条件かと思います。最近は自宅にネット環境を整えず、スマートフォンだけで済ます方も多いようですが、それでもテザリング等でネット環境は用意できるかと思いますが、理想は自宅に光ケーブルによるインターネット環境が整えられている事が望ましいです。
3に関しては、Slackやチャットワーク等のチャットツールの活用、及びZoomやSkype等のビデオ会議ツールの活用により、自宅にいながらもシームレスなコミニケーションをする事が可能です。Lineのようなチャットツールは、大半の人が使用されていると思うので、チャットツールベースのコミニケーションには抵抗がある方は少ないかと思います。
まずは上記の3点が満たされれば、テレワークに必要な最小限のICT基盤が整った状態であると言えます。恐らく、この状態までの対応であれば、そこまで敷居は高くは無いなと感じられた方が殆どだと思います。テレワークでの効率的なプロジェクト管理や、コミュニケーションに関する方法は、別記事で紹介させて頂きます。
テレワークにおけるセキュリティ
テレワークのために必要な最小限のICT環境を整備し、いざテレワーク実施。となった時に、恐らく一番脅威に感じられる事が情報漏洩等のセキュリティ面の不安では無いでしょうか。例え各自のPCのセキュリティ対策が万全でも、コミュニケーションツール等を使用して気密性の高い情報をやり取りしている間に、情報漏洩が起きてしまうとその被害の大きさは、内容にもよりますが大きな経済損失をもたらす可能性がありますし、特に個人情報漏洩のリスクは非常に大きいです。こういったリスクから身を守り、安全にテレワーク環境を実現するためのポイントを幾つかまとめてみます。
オンプレミスは安全な環境か?
日本では多くの企業がセキュリティの問題からクラウドの使用を避け、オンプレミスの環境で、社内サーバ上で機密情報を管理する傾向が未だに多いです。それが故にオフィスで勤務しなければアクセスできないリソースも多く、これがテレワークを妨げる主要因であるとも言えます。確かにオンプレミス環境であれば、独自の厳密なセキュリティ基準を適用する事ができ、社内ネットワークを外部と切り分けておけば高いセキュリティを実現できるのも事実です。それにも関わらず、企業の情報漏洩に関する話題は常にあります。
オンプレミス環境で厳密なセキュリティ環境を施していても、情報漏洩の問題は常についてまといます。その大半はリソースを担当者が外部に持ち出す事により起こります。オンプレミスの環境の場合、テレワークで社内の環境にアクセスするためにはVPN等のトンネリング技術を使用する必要があります。その際にリモートデスクトップ等で社内のPCに繋ぎ、その環境下で作業を行い、社内のリソースを個人のPCに持ち出さなければ安全性は高いのですが、その環境がなかったり、自身の個人のPCで作業をした方が早いなどの理由で、社内のリソースを自身のPCに保管し、それを使用する可能性が高くなるので、これがセキュリティホールに繋がります。
また、VPNで社内のネットワークに接続をすると、VPN接続を確立するまでの手続きに多くの時間を要したり、通常よりネットワークが遅くなる等のパフォーマンス面でのボトルネックが大きくなるケースもあります。
クラウド環境は危険か?
それでは次にクラウド環境の安全性について考えてみます。クラウドには大きく分けると、パブリッククラウドとプライベートクラウドの二種類のクラウドがあるため、厳密にはそれぞれのクラウドについて分けて議論をすべきですが、ここではセキュリティ的により脅威になりうるパブリッククラウドの安全性について考えてみたいと思います。日本企業は多くの企業が安全性の観点からクラウドの使用を敬遠しているという事実がありますが、これは正しい考え方でしょうか?
クラウドに関する懸念点を考察すると、おおまかに以下の点となるかと思います。
- クラウド上の共有スペースにデータが保管される事
- クラウド管理会社がクラウド上のデータにアクセスする事が可能な事
- 独自のセキュリティ基準を適用できない事
1に関しては、この懸念点に関してはよくわかりますが、色々な企業や個人のデータがクラウド上で管理されているという事は、クラウド基盤自体のセキュリティ対策は非常に厳密に施されている事が殆どです。特にGoogleやMicrosoft等の大手企業が提供しているクラウドは、今までに大きな情報漏洩の事件等も無く、日々安心して使用する事ができます。
2に関しては、事実としてはGoogleやMicorosoftのようなクラウド提供会社が、自社の運営するクラウド上に保管されているユーザのデータにアクセスをする事は物理的には可能です。但し、クラウドの利用規約等で、通常はアクセスを禁止する旨の条項があり、どうしてもアクセスが必要な場合は、事前にユーザに許可を求めるはずなので、こういったトラブルはあまりおきていないというのが現状です。
3に関しては、会社の決まりで、よほど厳密なセキュリティを施す事が義務付けられているのであれば話は別ですが、前述した通り、通常クラウド自体のセキュリティは非常に強固な対策が施されており、並大抵では破れないというのが実情です。GoogleやMicrosoftのクラウドをハッキングすることは、VPNをハッキングする事よりも難しいかもしれません。
このような観点から、クラウド環境は一概にオンプレミス環境に比べて安全性が低いとは言い切れません。また、どうしてもパブリッククラウドが不安な場合は、プライベートクラウドの利用をする事で、より気密性の高いセキュリティ環境を実現する事ができます。また、何よりもクラウドは利便性が良く、クラウドを快適にしようするための様々なツールが提供されているため、ローカルPC環境に全くファイルをダウンロードしなくても作業を行う環境も作る事ができます。
まとめ
本記事では「テレワークを行うためのインフラが整理されていない場合」の解決策について説明をさせて頂きました。また、テレワークに伴うセキュリティの不安についても言及させて頂きました。
私どもは、今まで培ったノウハウを通して、少しでもこの状況を改善出来るよう、テレワーク導入の支援活動、及びテレワークの導入に役に立つTipsの配信を継続して参ります。次回以降も、テレワーク導入ができない理由のそれぞれについて、解決策をまとめた記事を作成させて頂く予定です。
また、本記事を読んで頂いた方で、私どものテレワーク支援に関するご質問事項等ございます方は、お気軽にご連絡下さい。フレキシブルにMTGも可能ですが、言うまでもなくビデオ会議でMTGをさせて頂ければと存じます。
連絡先メールアドレス:info@mdiua.com